「MWO申請について、特定技能と技能実習だと何が違うのか」——よくいただく質問です。
フィリピン人を技能実習生として受け入れる場合も、特定技能と同じく、フィリピン側のMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)への申請が必要です。ただし、手続きの当事者も、使う様式も、特定技能とは変わります。本記事では、技能実習のMWO申請が特定技能とどう違うのか、そして2027年4月に始まる育成就労制度で何が変わるのかを整理します。
結論:違いの核心は「申請の当事者が監理団体になる」こと
技能実習(団体監理型)と特定技能で、MWO手続きが変わる最大のポイントは、フィリピン側の手続きの当事者が誰かという点です。
特定技能では、受入れ企業自身が申請主体となり、送出機関(PRA)と直接、募集取決め(Recruitment Agreement)を結びます。DMW(フィリピン移住労働者省)に雇用主として登録されるのも受入れ企業です。
一方、技能実習(団体監理型)では、監理団体が当事者になります。送出機関と募集取決めを結ぶのも監理団体、DMWに登録されるのも監理団体です。実務上、技能実習の大半は団体監理型なので、通常はこの形になります。
この違いから、重要な帰結が生まれます。受入れ企業が監理団体を変更した場合、たとえフィリピン人技能実習生を受入れ中であっても、新しい監理団体でのMWO登録が必要になるという点です。登録されているのが監理団体である以上、その監理団体が変われば、フィリピン側の関係も結び直しになります。
違い①:募集取決め(RA)の当事者
募集取決め(Recruitment Agreement)そのものの様式は、特定技能でも技能実習でも同じフォーマットが使えます。ただし、署名する当事者が異なります。
- 特定技能:送出機関(PRA)と受入れ企業
- 技能実習(団体監理型):送出機関(PRA)と監理団体
同じRAでも、誰と誰の契約かが変わる、というのが第一の違いです。
違い②:必要書類が異なる
ここが実務でいちばん間違えやすいところです。特定技能と技能実習では、使うひな形がまったく違います。RAは共通フォーマットが使えますが、それ以外の様式は別物なので、ダウンロードを取り違えないよう注意が必要です。
技能実習(監理団体の新規申請)で求められる主な書類は、次のとおりです。
- 監理団体許可書(英訳必要)
- 監理団体許可条件通知書(英訳必要)
- 監理団体の登記簿謄本(英訳必要)
- 監理団体および送出機関の協定書
- 技能実習求人通知(TITP専用様式)
- 実習実施機関の従業員人数の証明書(TITP専用様式)
- 技能実習計画審査基準の写し(英訳必要)
- 技能実習実施予定表(英訳必要)
- 雇用契約書および雇用条件書(外国人技能実習機構の様式)
- 雇用契約書の補遺文書(TITP専用様式)
- 共同宣誓供述書
- その他MWOが求める書類
特定技能の書類一式とは顔ぶれが大きく異なります。監理団体の許可関係の書類が加わること、雇用契約書が外国人技能実習機構の様式であること、求人通知や補遺文書がTITP専用様式であることが特徴です。様式は管轄MWO(東京・大阪)の公式サイトから、必ず技能実習(TITP)用のものを取得してください(東京と大阪では様式が異なります)。
違い③:日本側の手続きスケジュール
MWO申請そのものではありませんが、技能実習は日本側の手続きの進み方も特定技能と異なります。
技能実習では、在留資格の申請の前に、外国人技能実習機構(OTIT)への技能実習計画の認定申請が必要です。この認定に時間がかかるため、日本側の手続きは特定技能より長くなりがちです。フィリピン側のMWO申請と、日本側のOTIT認定・在留資格申請を、それぞれのリードタイムを見込んで並行して進める必要があります。
ここで注意したいのが、OEC(海外雇用許可証)とCOE(在留資格認定証明書)の有効期限の噛み合わせです。OECには発行日から60日間という有効期限があり、COEにも交付から3か月という期限があります。どちらか一方が先に出ても、もう一方が期限内に揃わなければ入国できません。両方の期限が生きている状態を作る必要があるため、スケジュール管理が特定技能以上にシビアになります。
2027年4月から:育成就労制度への移行
技能実習を語るうえで、避けて通れないのが制度の変わり目です。技能実習制度は発展的に解消され、2027年4月1日から「育成就労制度」が施行されます。
受入れ側に関わる大きな変更点として、これまでの監理団体は「監理支援機関」へと変わります。監理支援機関は許可制で、外部監査人の設置が義務化されるなど、監理団体より許可基準が厳格化されます。制度の目的も、技能実習の「国際貢献」から、育成就労では「人材育成と人材確保」へと明確化されます。
施行後の一定期間は技能実習と育成就労が併存する経過措置が設けられる見込みで、すでに受入れ中の技能実習生の扱いも段階的に整理されていく予定です。
フィリピン側(MWO・DMW)の手続きが育成就労に合わせてどう運用されるかは、日本側の制度施行に合わせて具体化していく部分です。現時点では、技能実習として受け入れる場合の手続きを正しく押さえつつ、育成就労への移行に関する情報を追っていく、という構えが現実的です。本サイトでも、運用が明らかになり次第、情報を更新していきます。
よくある間違い
特定技能の様式を技能実習に流用する
RA以外のひな形は別物です。TITP専用様式を、管轄MWOのサイトから取得してください。
申請主体を受入れ企業だと思い込む
団体監理型では監理団体が当事者です。RAの署名も、DMW登録も監理団体で行います。
監理団体を変更したのにMWO登録を放置する
受入れ中でも、監理団体が変われば新しい監理団体での登録が必要です。放置すると、その後のOECや増員手続きで問題が表面化します。
日本側のスケジュールを特定技能と同じ感覚で組む
OTITの認定申請が挟まる分、技能実習は時間がかかります。OECとCOEの期限の噛み合わせも含め、早めの着手が必要です。
まとめ
- 技能実習(団体監理型)のMWO申請は、申請の当事者が監理団体になる
- RAは共通様式が使えるが、当事者が「送出機関と監理団体」に変わる
- 必要書類のひな形は特定技能と別物。TITP専用様式を使う
- 監理団体を変更したら、受入れ中でも新しい監理団体でのMWO登録が必要
- 日本側はOTIT認定が挟まり、特定技能より時間がかかる。OECとCOEの期限管理に注意
- 2027年4月に育成就労制度が施行。監理団体は監理支援機関へ。今後の運用は要注視
本記事は情報提供を目的としています。制度・運用・様式は変更されることがあり、とくに育成就労制度への移行に伴う取扱いは今後具体化していきます。実際の申請にあたっては、管轄のMWO、外国人技能実習機構、出入国在留管理庁などの最新情報をご確認ください。

