技術・人文知識・国際業務でフィリピン人を採用するには|「特定技能ではないからMWO不要」は誤解です

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MWO手続き|技術・人文知識・国際業務

フィリピン人のITエンジニアを採用した。大学卒で要件も満たし、在留資格認定証明書(COE)も無事に交付された。あとは本人がビザを取って来日するだけ——のはずが、本人がフィリピンの空港で出国できない

これは作り話ではなく、技術・人文知識・国際業務(技人国)でのフィリピン人採用で実際に起きるトラブルです。原因は一つで、「特定技能ではないから、フィリピン側の手続き(MWO申請)は要らない」という思い込みです。

この記事では、技人国でフィリピン人を採用するときに必要なフィリピン側の手続きと、技人国だからこそ関わってくる「直接雇用」の分岐を整理します。

結論:技人国でもMWO申請は必要。区分は「Professional / Skilled Worker」

  • MWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)への申請は、特定技能に固有の手続きではありません。技人国を含む就労系の在留資格すべてで必要です。
  • MWOの申請区分では、特定技能・技能実習以外の就労系在留資格(技人国・介護・技能・高度専門職など)は「Professional / Skilled Worker(専門技能労働者)」というカテゴリーに該当します。
  • 手続きの通り方は2つあります。送出機関(PRA)を通す原則ルート(Agency-hired)と、条件を満たす場合に限り認められる直接雇用(Direct Hire)の免除ルートです。
  • 直接雇用の免除は技人国のような専門職だからこそ視野に入る選択肢ですが、通算5人までという上限など、見落とすと手続きが止まる制約があります。

MWO申請が必要かどうかは、在留資格の種類ではなく、「フィリピン国籍の方を雇用として受け入れるか」で決まります。

なぜ「技人国なら不要」という誤解が生まれるのか

MWO申請の要否を分けるのは、日本側の在留資格の種類ではなく、フィリピン政府がその人を「海外就労者(OFW)」として扱うかどうかです。

  • MWO申請が必要:特定技能、技能実習、技人国、介護、技能、高度専門職など、雇用契約にもとづいて働くための在留資格すべて
  • MWO申請が不要:永住者、日本人の配偶者等、定住者など、身分にもとづく在留資格。これらは「海外就労」ではなく家族・身分関係にもとづく在留とみなされるためです

日本語の情報では特定技能・技能実習の文脈でMWOが語られることが多いため、「技人国は対象外」という印象が生まれがちです。しかし制度の建て付け上、雇用契約で働くフィリピン人である以上、技人国も対象です。

そして、MWO申請を飛ばした場合の帰結は明確です。MWO認証がなければDMW(移住労働者省)への登録が進まず、本人のOEC(海外雇用許可証)が発給されません。OECがなければ、フィリピンの空港で出国審査を通過できない——冒頭の「COEは取れたのに来日できない」は、こうして起こります。

ルート1:送出機関を通す(Agency-hired・原則)

原則の通り方は、特定技能と同じ構造です。フィリピン政府認定の送出機関(PRA)と提携し、送出機関を通じてMWOへ申請します。

必要書類も特定技能と近く、申請書、求人通知(Manpower Request)、雇用契約書(Master Employment Contract)、賃金内訳(Salary Breakdown)、募集契約書(Recruitment Agreement・公証が必要)、登記簿謄本とその英訳などを揃えます。書式や細目はMWO東京と大阪で異なるため、必ず管轄MWOの最新様式で確認してください。申請から認証までの流れはMWO申請の提出方法と審査の流れで解説しています。

「エンジニア採用なのに送出機関?」と意外に感じるかもしれませんが、フィリピンの制度は、海外就労を送出機関経由の構造で管理することを原則としています。専門職であっても、この原則の中にいます。

ルート2:直接雇用(Direct Hire)の免除——技人国だからこそ視野に入る

ここが、特定技能とは違う「技人国」固有の分岐です。

フィリピンは労働者保護の観点から直接雇用を原則禁止していますが、企業幹部・管理職、専門職・技術職(ITエンジニア、研究者など)といった高度人材カテゴリーは、例外として「直接雇用禁止の免除(Exemption from the Ban on Direct-Hire)」の承認を受けられる可能性があります。技人国で採用する人材は、まさにこの類型に重なります。自社で直接スカウトした人材や紹介で出会った人材を、送出機関を挟まずに受け入れたい場合の選択肢です。

一方、特定技能・技能実習は原則としてこの免除対象に含まれません。「直接雇用の可能性がある」こと自体が、技人国採用の特徴といえます。

ただし、この免除ルートには見落とすと手続きが止まる制約があります。

直接雇用の2つの罠:「通算5人ルール」と「提携終了後1年ルール」

制約内容見落とすとどうなるか
通算5人ルール同一の雇用主(法人)が直接雇用できるフィリピン人は累計5名まで。「現在の在籍数」ではなく過去からの通算で、退職・帰国してもカウントはリセットされません6人目の申請が「上限オーバー」で停止。以降は送出機関経由(Agency-hired)への切り替えが必要になります
提携終了後1年ルール過去に送出機関と提携していた企業は、「今は提携がない」というだけでは直接雇用に進めません。提携関係の終了・取消しから1年経過が一つの基準とされています提携履歴の確認を飛ばして直接雇用前提で進めると、途中で組み直しになります

特に5人ルールは、「うちはITエンジニアだから何人でも直接雇用できる」という思い込みで6人目を申請し、そこで初めて止まる——というつまずきが実務で繰り返されています。「専門職だから免除に入り得る」のは候補者側の論点、「その企業がいま直接雇用に進めるか」は企業側の論点であり、この2つは別々に確認する必要があります。要確認免除要件・上限の運用は変更されることがあります。

なお、6人目以降や1年ルールに該当する場合の答えはシンプルで、原則どおり送出機関経由(Agency-hired)に切り替えることです。

よくある間違い

  1. 「特定技能ではないからMWOは不要」と考え、日本側の手続きだけで進める。COEが取れても、OECがなければ本人は出国できません。
  2. 「専門職だから直接雇用できる」と決めつける。免除は条件付きの例外で、通算5人の上限があります。
  3. 過去の直接雇用人数を確認せずに申請する。退職者・帰国者も通算に含まれます。
  4. 過去の送出機関との提携履歴を確認しない。提携終了から1年未満は直接雇用に進めない場合があります。
  5. 特定技能用の情報だけを見て書類を作る。区分は「Professional / Skilled Worker」で、様式・必要書類が異なります。管轄(東京/大阪)でも違いがあります。

まとめ

技人国でのフィリピン人採用は、「MWO申請は在留資格ではなく国籍に紐づく」という一点を押さえれば、迷いません。技人国もMWOの「Professional / Skilled Worker」区分で申請が必要であり、通り方は送出機関経由(原則)と直接雇用の免除(条件付きの例外)の2つです。

直接雇用は技人国採用ならではの選択肢ですが、通算5人・提携終了後1年という制約があるため、着手前に「自社の直接雇用の通算人数」と「過去の送出機関との提携履歴」を確認する——これが、専門職採用で手続きを止めないための実務の順序です。

MWO制度の全体像はMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)とはを、受入れ手続き全体の流れはMWO手続き完全ガイドをご覧ください。

本記事は情報提供を目的とした一般的な整理であり、個別の手続きの可否や要件充足を保証するものではありません。直接雇用の免除要件・人数上限などの運用は変更されることがあります。実際の手続きにあたっては、管轄のMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)・DMW(移住労働者省)の最新情報を必ずご確認ください。

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