会社の情報が変わったときのMWO手続き|社名・所在地・代表者の変更で、日本側の届出とフィリピン側の認証をどう合わせるか

MWO手続き
MWO手続き|会社情報の変更

社名を変更した、本店を移転した、社長が代わった——会社の基本情報が変わったとき、日本側は登記を直して入管に届け出れば、ひとまず区切りがつきます。ですが、フィリピンのMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)・DMW(移住労働者省)に認証・登録した会社情報は、昔のままです。

「フィリピン側も何か出す必要があるのか」「放置していても大丈夫なのか」——受入れ企業の人事・総務のご担当者や、登録支援機関の実務担当者から、こうした問い合わせが繰り返し寄せられます。

この記事では、会社情報が変わったときにやることを、日本側フィリピン側に分け、「いつ・何を整えるか」という実務の順序で整理します。

結論:日本側は「届出」、フィリピン側は「次の申請の前に整合」

  • 日本側:法務局で登記を変更し、必要な届出(特定技能所属機関・登録支援機関の登録事項など)を行います。
  • フィリピン側:MWO・DMWの認証書類は「認証した時点の会社情報」で固定されており、日本の登記のように自動では変わりません。次に何か申請する場面(追加求人・契約更新・新規受入れ)の前に、現在の登記情報へ整合させます。
  • 放置すると、次の申請やOEC(海外雇用許可証)の手続きで、登記簿(現在)と認証書類(旧情報)が食い違い、差し戻し・確認の原因になります。

会社情報の変更は、”変えた瞬間”より”次に申請する前”が勝負どころです。

手順1:まず「何が変わったか」を3つに分ける

変更の種類ごとに影響する書類が違うため、切り分けが最初です。

  • ① 社名(商号)の変更
  • ② 所在地の変更(本店移転/勤務地=事業所の移転)
  • ③ 代表者の変更(社長交代)

とくに③は書類の署名権限に直結し、②は管轄MWO(東京/大阪)にも関わるため、影響が大きくなります。①〜③が同時に起きることも多く、その場合は書類全体を横断で見直します。

手順2:日本側の手続き

まず法務局で登記を変更します。そのうえで、次を確認します。

  • 特定技能で受け入れている場合:会社の名称・所在地・代表者の変更については、届出や次回申請時の反映が必要になる場合があります。2025年4月に届出制度が整理されているため、どの様式で何を出すかは、最新の運用要領・入管庁ホームページで確認してください。要確認
  • 登録支援機関でもある場合:登録事項(名称・所在地・代表者など)に変更があれば、出入国在留管理庁への登録事項変更の届出が必要です。
  • あわせて、ハローワーク・社会保険・労働保険など、日本人従業員と共通の事業主変更手続きも発生します。

日本側は、登記という「現在の正しい情報」が明確に存在するのが特徴です。問題は、この現在情報がフィリピン側の書類に反映されていないことです。

手順3:フィリピン側で「現在情報へ整合」するために何をするか

MWO・DMWに登録された企業情報(Company Accreditation。有効期限は最長5年)には、会社名・所在地・代表者・事業内容・従業員数などが含まれます。これらは認証した時点で固定され、自動では更新されません。

重要なのは、「会社情報が変わった瞬間に、それだけを単独で届け出る」独立の手続きは、実務上は限定的だという点です。実務では、次の申請(追加求人=Additional Job Order、または更新=Renewal of Accreditation)のタイミングで、現在の会社情報で作り直した書類を提出して反映します。具体的には、次を行います。

  1. 新しく作る書類を、現在の会社情報でそろえる。次に作成する求人票(Manpower Request/Job Order)・雇用契約書(Master Employment Contract)・条件書(Written Employment Conditions)に、現在の会社名・所在地・代表者名を記載します。代表者が変わっている場合は、新しく作る書類の代表者名を現在の代表者にし、その代表者が署名します。
  2. 変更を裏づける資料を用意する。現在の登記事項証明書(登記簿謄本)とその英訳をそろえ、旧情報との対応を説明できるようにします。英訳表記は新旧を混在させず、現在の正式表記に統一します。
  3. 申請様式と公証の要否を確認する。追加求人の申請書は「Annex F」(新規は「Annex E」)で、様式は東京・大阪で異なる場合があります。追加求人では、新規申請のような公証(私署証書認証)は原則不要とされますが、新規申請時の書類のコピーが必要です。ただし、賃金改定などの条件変更を伴う場合は雇用契約書・条件書の作り直しが必要になります。会社情報の変更内容によっては、管轄MWOが追加資料や再度の認証を求めることもあります。要確認
  4. 送出機関(PRA)と連携する。MWOで認証された書類は、PRAからDMWへ提出され、DMW認証後にPRAへ戻ります。認証書類はPRAが保管しているのが一般的なので、変更の事実を早めに共有し、現況の書類をそろえます。
  5. 提出先のMWOを確認する。申請は、初期登録(Initial Accreditation)を行ったMWOに対して行います。勤務地の移転で別管轄(東京⇔大阪)にかかる可能性がある場合は、どちらに出すべきかを管轄MWOへ問い合わせます。

要するにフィリピン側は、「変更のたびに随時届け出る」というより、「次に申請する書類一式を、現在の会社情報で作り直してそろえる」整合作業になります。

手順4:放置すると、次にこう表面化する

会社情報のズレは、変更した直後は表面化しません。次に何か手続きをする場面で、まとめて問題になります。

変更項目日本側でやることフィリピン側で起きやすい問題
社名(商号)の変更登記変更・必要な届出旧社名の認証書類と現在の登記簿(新社名)の橋渡しを示せないと、同一法人か確認・差し戻しになりやすい
所在地の変更登記変更・必要な届出勤務地(事業所)が移ると、管轄MWOが東京⇔大阪で変わる場合がある
代表者の変更登記変更・必要な届出旧代表名で署名された書類→誰が署名権限者か不明確になり確認が入る

補足すると、次の申請そのものは現在の会社情報で行います。ただし追加求人では旧認証書類の写しも必要になるため、旧情報から現在情報への変更経緯(登記の変更など)を説明できるようにしておくと、同一法人かどうかの確認で止まりにくくなります。

これらに共通して、OECの更新・再取得の場面でも、情報の不一致は確認・遅延の原因になります。会社名・住所・代表者の表記ズレが差し戻しにつながりやすいことは、MWO申請で差し戻しになる理由でも整理しています。変更があった案件では、この論点がなおさら起きやすくなります。

よくある間違い

  1. 日本側の届出だけで完了したと考え、フィリピン側の整合を放置する。
  2. 代表者交代後も、旧代表の署名・印を使い続ける。署名権限の疑義につながります。
  3. 勤務地の移転で管轄MWO(東京/大阪)が変わったことに気づかない。管轄は勤務地基準のため、事業所が県をまたいで移ると管轄が変わることがあります(詳しくは東京と大阪の違い)。なお、本店だけ移転して勤務地が変わらなければ管轄は変わりません。
  4. 新しい会社名の英訳を旧資料からコピペし、書類間で新旧の表記が混在する。
  5. 変更の「時点」を資料間でそろえず、古い登記情報が混ざったまま提出する。

まとめ

会社情報の変更は、「日本側=登記と届出」「フィリピン側=次の申請の前に現在情報へ整合」の二段構えで捉えると、抜けが減ります。

MWO・DMWの認証書類が”時点固定”である性質を理解し、変更が起きたら、次のアクション(追加求人・契約更新・OEC)の前に会社情報を棚卸しする——これが、差し戻しと出国トラブルを防ぐ実務の順序です。制度の全体像はMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)とはをあわせてご覧ください。

本記事は情報提供を目的とした一般的な整理であり、個別の手続きの可否や必要書類・様式を保証するものではありません。制度・運用は変更されることがあります。実際の手続きにあたっては、出入国在留管理庁、移住労働者省(DMW)、各MWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)など、各機関の最新情報を必ずご確認ください。

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