MWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)への申請を進めていると、「書類審査のあとに英語の面接があるらしい」という話を耳にします。「英語で何を聞かれるのか」「誰が行けばいいのか」「行政書士に任せられないのか」——申請中の受入れ企業の担当者から、こうした不安の声が繰り返し寄せられます。
結論から言うと、この面接は英語力の試験ではありません。この記事では、MWO面接の流れ、実際に聞かれる内容、そして本当に必要な準備を整理します。
結論:面接は「依頼があった場合のみ」。代理は不可、通訳は可
- 面接は全件で行われるわけではなく、MWOから面接の依頼があった場合のみ実施されます。ただし、企業側が面接の有無を選ぶことはできず、どの企業に依頼が来るかを事前に予測することも困難です。
- 行政書士・登録支援機関などの第三者が代理で面接を受けることは認められていません。受入れ企業自身(代表者または委任を受けた従業員)が受けます。通訳の同席は可能で、費用は企業負担です。
- 面接は英語で行われ、場所は原則としてMWO東京またはMWO大阪の事務所です(オンラインとなる場合もあります)。
- 聞かれる内容は、提出した申請書類に書いたことの確認が中心です。つまり対策の本質は、英会話の練習ではなく、自社の申請内容を把握している人が面接に行くことです。
面接対策とは、英語の練習ではなく、自社の書類に書いたことを自分の言葉で説明できるようにしておくことです。
面接までの流れ
実務での標準的な流れは次のとおりです。
- 管轄のMWOに申請書類を提出します。
- 書類審査が終わると、面接対象になった場合、MWOから面接依頼のメールが届きます(面接日の指定があるのが一般的です)。
- メールに返信します。指定日で都合が悪ければ、候補日を書いて調整を依頼します。
- 通訳が必要な場合は、この段階で通訳者を手配します。
- MWOから面接の確認メールが届きます。
- 当日、メールに記載された時間・場所を確認してMWO事務所へ赴きます(オンライン指定の場合はその方式で)。
- 面接を受けます。
- 面接日から1週間ほどで、承認された書類一式が企業に返送されます。面接の時点では、書類はまだMWOの手元にある状態です。
注意したいのは2番です。面接依頼は英語のメールで届くため、迷惑メールに振り分けられたり、重要なメールと気づかず見過ごしたりする事故が起きやすいポイントです。申請書類に記載するメールアドレスは、担当者が日常的に確認しているアドレスにし、申請後はMWOからのメールを注意して見ておいてください。
面接で聞かれること
すべての企業に同じ質問がされるわけではありませんが、実務上、次のような事項が聞かれる傾向があります。いずれも、申請書類に記載した内容の確認です。
- 受入れ企業の概要:設立年月日、事業内容など
- 受入れ事業所の状況:総従業員数、外国人従業員数など
- 在籍する外国人について:国籍、在留資格など
- フィリピン人を採用する理由
- 労働条件:仕事の内容、給与、勤務日数、休日など(日本人と同等かどうかという観点で確認されます)
- 住居:家賃、職場からの距離など(家賃控除が生活を圧迫しない水準かという観点です)
- 健康管理:従業員の健康管理の体制
- 送出機関(PRA)との関係:送出機関の把握、連携の内容
最後の送出機関に関する質問は要注意です。手続きを第三者に任せきりにしていて、送出機関の名前すら答えられない——という事態は避けなければなりません。日頃から送出機関と連絡を取り合っておくのが理想ですが、最低でも送出機関の名称と代表者名は面接前に押さえておいてください。
誰が面接に行くべきか
必ずしも代表者本人である必要はなく、委任を受けた従業員でも構いません。重要なのは肩書ではなく、上記の質問に答えられる人であることです。実務では、就業場所の責任者、採用担当者、申請書類を作成した担当者などが適任です。
申請の段階から「面接に行くのは誰か」を決めておき、その人が書類の内容——特に労働条件・住居・送出機関——を把握している状態を作っておくと、依頼が来てから慌てずに済みます。
英語に自信がない場合は、通訳者を雇って同席してもらうことができます(オンライン面接でも同様です)。費用は企業負担ですが、内容を正確に伝えるための投資と考えれば十分に合理的です。
面接を欠席するとどうなるか
出席しないと、申請書類は承認されず、DMW(移住労働者省)への企業登録も進まず、労働者のOEC(海外雇用許可証)も発行されません。申請書類はそのまま返送されることになります。
故意に欠席する企業はまずありませんが、実際に起きるのは依頼メールの見逃しによる無断欠席状態です。前述のとおり、メールの管理が実務上の最大の防衛線になります。なお、当日遅刻しそうな場合は、日本の官公庁への対応と同じように、MWOへ連絡を入れてください。通訳者がいる場合は、通訳者を通じて連絡してもらう方法もあります。
よくある間違い
- 「面接は必ずある」「面接はない」と決めつける。実施は、MWOから依頼があった場合のみです。有無は企業側では選べず、事前の予測も困難です。
- 英会話の練習に時間を使い、書類の把握が疎かになる。聞かれるのは書類に書いた内容です。
- 行政書士や登録支援機関に任せきりで、送出機関の名前を答えられない。面接は代理不可のため、任せきりの弊害がここで表面化します。
- 申請書類に、普段確認しないメールアドレスを記載してしまう。英語の依頼メールを見逃すと、無断欠席と同じ結果になります。
- 通訳の手配を直前まで先送りにする。依頼メールへの返信段階で手配を始めるのが安全です。
まとめ
MWO面接は、依頼があった場合のみ実施され、代理は不可・通訳は可、内容は申請書類に書いたことの確認が中心です。
対策はシンプルで、「書類の内容を把握している人を、最初から面接担当として決めておく」「MWOからの英語メールを見逃さない体制を作る」の2点に尽きます。面接は関門というより、書類に書いた受入れ体制が実態を伴っているかをフィリピン政府が確かめる場——そう捉えると、準備の方向を間違えません。
申請から審査までの全体の流れはMWO申請の提出方法と審査の流れを、書類段階でのつまずきはMWO申請で差し戻しになる理由をご覧ください。受入れ手続き全体のどこに面接が位置するかは、MWO手続き完全ガイドから確認できます。
本記事は情報提供を目的とした一般的な整理であり、個別の手続きの可否や運用を保証するものではありません。面接の実施方法・運用は変更されることがあります。実際の手続きにあたっては、管轄のMWO(駐日フィリピン移住労働者事務所)など、各機関の最新情報を必ずご確認ください。

